さわやかサポーター第1期マネージャーの菅生です。
平成30年1月17~18日、森林ツーリズム推進の件で長野県朝日村にお伺いいたしました。
森林ツーリズムとは、旅行会社・東武トップツアーズさんの進める事業で「森林を利用して心身の休養を提供すること」を目的とするツアー商品です。当協会では、東武トップツアーズさんの企画するツアー商品に協力する形で、昨年から地方自治体にツアーの企画と実行への参加をお願いしてきました。その甲斐あって、来年度からは4村(朝日村、弥彦村、根羽村、白川村)で森林ツーリズムが開始する運びとなっています。
今回は、レタスや白菜、キャベツなどの葉野菜の栽培が盛んな朝日村において「ツアーで訪れた観光客にどういった食の体験を提供するか」というテーマで地元の女性の方2名とお話しさせていただきました。どちらも女性の立場から、食や農業に関して活動をされている方です。
最初は「東京から何しに来たの?何を話せばいいの?」と警戒した面持ちでいらっしゃいましたが、地元では普通の食材や調理法だとしても、観光客目線の私たちからすると非常に興味深いものがあるので、よく食べているものなどを教えてくださいとお話すると、だんだんリラックスしていろいろとお話しくださいました。
地域のお祭りでお弁当を作って配った中で評判の良かった昔ながらのお惣菜や、子どもたちに人気の給食メニューなどは思わず「食べたい!」と思うような、観光客向けのメニューとしても成り立つと感じられるものでした。給食は小・中学校それぞれで作っており、ほぼ完食されるそうです。1日に野菜300gの摂取が進められている中で、給食だけで150gの野菜を摂れるようになっていて、地産地消の観点からその野菜の50%以上を地元野菜で賄っているというのも驚きました。この給食をひとつの切り口に、地元の食をよりよく知る機会として観光客に提供したり、レシピを公開したりというプログラムも考えられそうです。
また、この地域の人は農家以外でもたいていの食べる野菜は作っていて、収穫のピークである夏場は余って捨ててしまうほどだそうです。冬場でも保存している野菜があるので困らないとか。「魚や肉は買うけど、米も作ってるし…買い物は少ないわね」とのことでした。プルーンやあんずなどの果樹も、出荷するほどではないけど自家用にあるという、食に関しては非常に恵まれた地域ということが改めて感じられました。
何もない村と地元の方は言いますが、夏はレタスが見渡す限りいっぱいに広がっている絶景や、秋はキノコ狩りにジビエなど、四季を通じた良さがたくさんあります。ただし観光客を定期的に受け入れるとなれば、食や宿泊、観光体験の提供など、必要になることも山積みです。農家の出荷など、待ったなしの作業を妨げることになってはいけないので、今回お話しくださった女性たちに「こういった事業に協力してくれる地元の方はいらっしゃると思いますか?」と質問してみたところ、言葉を慎重に選びながらではありますが、「できればもともとやってみたいとは思っていた」との事。ただしやはり受け入れ態勢が整うまでは、様子を見ながら進めていきたいということ。そのあたりも強引に進めるのではなく、地元の方と十分な協力体制を取りながら進めることが重要になると思いました。
今回に限らず、地方創生は私たち地元以外の者が進める計画に地元の方々がどれほど乗り気になってくれるかが一番のポイントになります。地元の意思を尊重しながら信頼関係を築いていき、今後もさわやかサポーターが地元の人材を育成する立場として関わりを深めていきたいと感じられた訪問になりました。